ギルウェル山の会

ボーイスカウト関係者による登山の同好グループの山行記録。

2014-6/27 博士山

<6月26日(木)>
 笠幡の関根宅発19時10分。加須ICから東北道に乗る。東北道から磐越道経由を予定していたけれど、磐越道の会津若松IC~会津坂下IC間工事のため通行止めの情報。急きょ西那須野ICで下りて会津田島経由に変更する。雨が降ったり止んだり、滅多に車に会わない暗い道を田島から舟鼻峠を越え昭和村から博士山入口の会津柳津町大成沢に着く。真夜中の集落で博士山に行く林道の入口が分からず迷走。ようやく見つけた林道は途中からは二車線の立派な舗装道路になったけれど、ここでまた登山口が見つからずに行ったり来たりしてタイムロス。日も変わった午前1時半頃登山口駐車場を見つけ、車を停めて関根さんのテントを張り早々にもぐり込む。見上げる夜空は満点の星空だった。

 (↓博士山登山口駐車場)

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<6月27日(金)>
 5時起床。テントを畳み軽く朝食を済ませて6時15分登山開始。15分ほどで道海泣き尾根の取り付き点に着く。樹林帯で風が無く汗がしたたり落ちる評判通りの急登。湿った藪の中にギンリョウソウの白い花が目立ちました。

 (↓博士山登山口)

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 (↓道海泣き尾根の登り)

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 (↓ギンリョウソウ

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約1時間でしゃくなげ洞門という岩穴に到着。そこからややゆるくなった道を20分ほどで近洞寺山分岐(稜線)に出る。

 (↓近洞寺山分岐)

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稜線上はブナ、アスナロミズナラの巨樹が次々と現れ、ところどころ盛りを終わったサラサドウダンの花びらで敷き詰められたやせ尾根をたどる。先月18日の山開きに備えたのか、危険なところには真新しいトラロープが取り付けてある。
 一見頂上のように見える前衛峰の社峰を超え緩やかな尾根を15分ほどたどると一等三角点のある博士山1482メートルの山頂に出た。よく山頂にある祠のようなものは見当たらず中央に博士山の標柱が立つ小広場。私は二度目の登頂。初めて登ったとき辿った博士峠からの登山道はやぶに埋もれていた。

 (↓社峰から博士山山頂をのぞむ)

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 (↓博士山山頂1482m)

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 まだ9時前だったが、雲が多く展望も楽しめないので早々に下山する。下りは近洞寺山コースを選択する。この尾根道も展望はほとんどないが、次々と現れる巨樹が目を楽しませてくれる。近洞寺跡の標識がある近洞寺山を過ぎてどんどん下り、標高1000メートル付近で右に曲がる。

 (↓アスナロの巨樹)

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しばらく下ったとき、先頭を歩く関根さんの前に立つ大木から何かが落ちてくる大きな音がした。古い枝でも折れたのかと思わず目を上げたら、黒いものが木の上から落ちてきて、われわれが向かう方向とは逆の急斜面を転がるように去って行った。大きなクマであった。最後尾を歩いていた私はそれほど感じなかつたが、先頭にいて数メートル先に自分の体格ほどもあるクマが落ちてきた(下りてきた?)関根さんの恐怖と驚きは大変なものだったようだ。自分の葬式まで脳裏を巡ったとのこと。
登山口によくある「クマ出没中注意!」の看板も無かったし、3人だったので、クマ除けの鈴も付けず、下りに集中してあまり会話もせずに歩いていたことも遭遇した原因と思われる。クマのほうが多勢に無勢と思ったのか、ただ単に臆病なクマだったのか、幸いにして逃げてくれたが、後で考えると恐怖の一瞬でした。その一方で、50数年間山を歩いていて初めてクマに出会った喜びも噛みしめていました。
 クマと遭遇して感じたことは、とっさの場合に登山用具店で売っている唐辛子スプレーを噴射するなんてとても間に合わないということです。まずは音を出して事前に退散してもらうのが最適と思われます。

 (↓お疲れ様でした。左前方のピークが博士山)

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 12時前には駐車場に戻ってきたので、安全な?駐車場でお湯を沸かして昼食にしました。他に駐車している車は無く、この日博士山に入った登山者はわれわれだけだったようです。それでも今後のこともあるし、山菜取りに入る人もいると思われるので、集落に戻ってクマに遭遇したことを報告することにしました。
 大成沢の集落に戻って製材をしている人を見かけたので報告したらあまり驚くふうでもなく、少し離れた集落にある駐在所に報告するよう勧められたので、次の目的地とは反対方向に10分ほど走って駐在所にいた若い警察官に報告しました。ここでもあまり驚く様子はなく、製材作業の人と同様「ああ、いましたか。」みたいな感想で、先日も行方不明者を探していた警察官2名がクマにひっかかれたとか… どうやらクマはいるのが当たり前なので、格別注意書きも出していないようでした。一応、遭遇した場所、クマの大きさなどをメモし「ご苦労様」の一言で駐在所をあとにして、次の目的地南会津町の「高清水自然公園」を目指しました。
 「高清水自然公園」着14時15分。山中の窪地の小広い草原一面に南東北新潟県の一部にしか咲かない絶滅危惧種のヒメサユリがちょうど見頃を迎えていました。入場料300円。観光バスも来ていたけれど、思ったより人が少なくヒメサユリを堪能することができました。

 (↓ヒメサユリ咲く高清水自然公園)

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入場券を見せれば道の駅「きらら289」日帰り温泉の入浴料700円が500円になるというので、いくつか考えていた日帰り温泉を止めて「きらら289」に直行しました。われわれのほかにほとんど入浴している人がおらず、青空と緑に囲まれた露天風呂を楽しみました。
 16時20分、「きらら289」を出発し駒止トンネル経由で塩原から西那須野ICに出て往路を戻りました。帰宅20時30分。走行距離約590㎞、早々に爆睡しました。

参加者  関根信夫、平林 功、諏訪富雄

                         (諏訪富雄記)